仕様書
(財)日本住宅・木材技術センター 平成9年2月7日 住木評価第8-2号
1「キソゴム工法」の概要
▲「キソゴム」工法の土台・基礎
住宅にとって土台は「要」であり、この土台にいかに耐久性をもたせるかが、安全で寿命の長い住宅を作る上でのキーポイントになってくる。
そこでスターコックス(株)の「キソゴム」工法は、「キソゴム」を図のように基礎と土台の間(半間ピッチ及びアンカーボルト部分、継ぎ手部分、柱の下部など)に敷き込むことで、コンクリート基礎の水湿分より土台を絶縁し、腐朽を防いでいる。
また「キソゴム」を上記のように敷き込む事によってできるスリット状の換気口が、建物の全周に行き渡ることで、コーナー部分の換気のムラ・澱みをなくし、換気効率を上げる。
さらに、換気口が不要になることで、施工作業が短縮し、基礎は一体性を高め耐久性を上げることになる。
2部材・材料の構成及び形状
キソゴム
- 商品名
- 「キソゴム」
- 寸法
-
- KG-100
- 100×200×20mm(105mm巾土台用)
- KG-120
- 120×200×20mm(120mm巾土台用)
- KGⅡ-120
- 120×200×20mm(高負荷・鉄板2枚入り)
- KG-1510
- 150×100×20mm(150mm巾土台用)
- KGⅡ-1510
- 150×100×20mm(高負荷・鉄板2枚入り)
- 色
- 黒
- 形状
-
- アンカーホール
- 芯から外れたアンカーボルトの調整用
- 除湿促進条溝
- アンカーホール内の通気用
- センターマーク
- 基礎芯合わせ用
- 逃墨ライン
- 通芯より40mm、位置合わせ用
- 梱包単位
- KG-100、KG-120、KGⅡ-120は30個入り。
KG-1510、KGⅡ-1510は40個入り。
ともに取扱説明書。 - 材質
- スターコックス(株)開発のブレンドゴム(「天然ゴム」と「合成ゴム」のブレンド)に鉄板をセンターに内蔵
防鼠材
- 商品名
- 「防鼠材」
- 寸法
- 1種類 KM-L(L型) 長さ2m、高さ47mm、エプロン幅14mm、厚さ0.6mm
- 色
- グレー
- 形状
-
- 開口部(8×17mm)
- 「キソゴム」の厚み20mmに対応する開口率68%
- エプロン(幅14mm)
- 左官仕上用定規を兼ねる
- 梱包単位
- 20本
- 材質
- アルミニウム
- 用途
- 法令に規定される「鼠等の侵入防止」。
建物外周の換気スリット部分に取り付ける。
ツカゴム
- 商品名
- 「ツカゴム」
- 寸法
- 1種類 TG-105 105×105×20mm
- 色
- 黒
- 形状
-
- 束面部(R100×15mm)
- 除湿溝
- 束石面部(105×105×5mm)
- 4箇所の釘穴
- 梱包単位
- 60個、取扱説明書付
- 材質
- スターコックス(株)開発のブレンドゴム
- 用途
- 束用
3キソゴム工法標準仕様書
(1)本工法採用の際の注意事項
(以下の事項を必ず、充分理解した上で施工を行ってください。)
- 本工法の規定する施工マニュアルを守る事。
- 本工法の現場での取扱者は大工職である。
- 本工法を採用する上で従来工法と違う点は次のとおりで、これ以外は特に従来工法と変わらない。
・床下換気口を造る必要がないこと。(内基礎の点検用バイパスは必要)
(2)基本敷き込みルール(厳守)
- 標準敷き込みピッチを半間(例えば910mm)として、その間隔が1mを超える敷き込みはしない事。
- 柱の下部以外にも、大切など主要な荷重のかかる部分には必ず敷き込む事。
- アンカーボルトによる緊結部分には必ず敷き込み、土台を敷設する前に再度確認する事。
- 基礎天端に引かれた逃げ道に、「キソゴム」の逃墨ラインを合わせ、土台や基礎天端からはみ出さないように敷き込む事。
(3)キソゴム施工仕様書
布基礎の上面が水平な状態で、キソゴムを配置してください。
アンカーボルトのある場所は、必ず敷き込んでください。
柱の下など荷重のかかる位置には、必ず敷き込んでください。
土台の継ぎ手の位置には、必ず敷き込んでください。
キソゴムの設置間隔は、半間で施工し、1mより大きいピッチではセットしないでください。
防鼠材・水切りは土台もしくは下地板に取り付けてください。
法令上、キソゴムと防鼠材は必ず(建物外周部のみ)セットにてご利用ください。
(4)敷き込み位置について
(下の敷き込みポイントの番号は上の①~④と連動)
他の条件と重ならないアンカーボルト部分、継ぎ手部分は半枚使用も可能です
(5)標準施工マニュアル(施工要領・手順注意事項)
- 基礎工事
- 建物外周部の基礎立ち上がり部分の外面は、土台の外面に合わせる。
- 建物内部の基礎立ち上がり芯は土台芯に合わせる。
- 基礎立ち上がりに従来の開口欠損部(換気口)は必要ないが、内面基礎にのみ最小限の点検バイパスを設ける。
- アンカーボルトの差し込み位置については、従来どおりで支障なく「キソゴム」を使用できるが、効率良く節約するために、製品寸法図のアンカーホールの寸法を考慮してアンカーボルト位置を決めるのが望ましい。
- 基礎天端の均しモルタルの施工は従来どおりで行ってください。
- 土台敷き込み
- 「キソゴム」の土台敷き込みの際は、基礎天端の逃墨(芯より40mm)に「キソゴム」小口面の逃墨ラインを合わせて敷設してください。
- アンカーボルト部分へのセットは、「キソゴム」のT字型のアンカーホールを利用して土台からはみ出さないようにセットしてください。
- 芯から外れたアンカーボルトがあった場合は、アンカーボルトより、逃墨に合わせてセットしてください。
- 上記以外は従来の土台の敷き込みと同様に施工してください。
- 「キソゴム」敷設時の注意事項
- 「キソゴム」及び基礎天端に泥やモルタルなどが付着しないように注意して敷き込んでください。
- 基礎天端の均しモルタルが十分乾いてから「キソゴム」を敷き込んでください。
- 付属「防鼠材」の施工について
- 幅14mmのエプロンを外側にして、その下端を基礎天端レベルに合わせ、立ち上がり部分を直接土台に約60cm間隔で釘止めしてください。
- エプロンは、基礎立ち上がり外面へのモルタル塗りの際に左官定規となりますので、不必要なねじれや打撃によって破壊させないように注意して施工してください。
(6)換気開口面積算出基準
-
「防鼠材」(KML-L)開口率の算出
高さ2cm×幅5cmの範囲に(0.8cm×1.7cm)が5個開いていることから
開口率 =
( 0.8cm × 1.7cm × 5個 ) / ( 2cm × 5cm ) × 100 = 68% -
間隔5m以内に換気面積300平方cm以上の場合
(有効面積確保のための敷き込みは最大10枚までです。)
●「キソゴム」を最大10枚敷いた時の開口面積
{ 500cm - (20cm× 10枚 ) } ×2cm=600平方cm↑
「キソゴム」
長さ↑
「キソゴム」
高さ↑
開口面積●「防鼠材」の開口率が、68%なので有効開口面積は、
600平方cm × 0.68 =408平方cm↑
有効開口面積最大セット基準図 -
間隔4m以内に換気面積300平方cm以上の場合
(有効面積確保のための敷き込みは最大10枚までです。)
●「キソゴム」を最大8枚敷いた時の開口面積
{ 400cm - (20cm× 8枚 ) } ×2cm=480平方cm↑
「キソゴム」
長さ↑
「キソゴム」
高さ↑
開口面積●「防鼠材」の開口率が、68%なので有効開口面積は、
480平方cm × 0.68 =326.4平方cm↑
有効開口面積最大セット基準図
(7)標準に外れたケースでの対応
- 《ケース1》基礎天端のレベル不良や土台材の反り等が原因で、キソゴムと土台もしくは基礎天端の隙間が生じるようなケース
- 優先して、基礎の天端のレベル補正を行ってください。基礎レベルが適正に保たれてもなお土台下端とキソゴムの間に隙間が生じている場合でも建物完成後の長期にわたる構造耐力を考慮して、キソゴムの敷き込みを省かないでください。
- 《ケース2》上部に壁が無かったり、掃き出し等の開口部だから土台自体に大した荷重はかからないと考えられるケース
- キソゴムの敷き込み間隔を1m以上空けてセットすることは決してしないでください。特に、この敷き込み間隔が荷重伝達点として構造上の重要な役割を果たします。
- 《ケース3》天端に差し込まれたアンカーボルトの位置が土台芯から大きく外れていたり、アンカーが深すぎてボルト頭の出寸法が短かったりしたケース
- キソゴムと土台のズレを生じさせないことに重点をおき、キソゴムに空けられたT型のアンカーホールを利用してキソゴムを墨出し線から大きく外さないよう注意してセットしてください。また、ボルト頭の出寸法が少ない場合には、土台の天端を座彫りして緊結するような処理をしてください。
4「キソゴム」敷き込み基準図
5標準詳細図
従来工法
枠組み壁工法
6アンカーホール寸法とボルト差し込み基準(KG-120の場合)
7コーナー部分収まり図
L字コーナーの場合
T字コーナーの場合
十字コーナーの場合